9.『自己愛性パーソナリティ障害』と『境界性パーソナリティ障害』と【認知的不協和理論】
*『自己愛性パーソナリティ障害』
『自己愛性パーソナリティ障害』とは?
《症状》
- 自分は人より優れていると信じている。
- 業績や才能を誇張する。劣っていると感じた人に高慢な態度をとる。
- 非難に弱く、すべてを否定されるように感じる。
- 非を受け入れない。
- 他人は自分の利益のために利用するものでしかない。
自分は人より優れていると信じ、自分を誇張し、
劣っている人には高慢な態度をとるタイプ(=ナルシスト)
そこには一見、自分に自信があり、他人を見下しているように見えるが
根底には
「自分は人に根本的に受け入れられない欠陥がある」という劣等感がある
「自分に自信がなく、ありのままの自分を認められない」
という自己肯定感(自尊心・尊厳)の欠如がある
ありのままの自分(自我)
↓ 否認
『良い自分』←分裂→『悪い自分』
万能感・優越感 劣等感
「偉大で特別な自分でいなければならない」という思い込みが強すぎて
他者との『比較・優劣・勝敗・上下⋯』や『学歴・偏差値⋯』への拘りが強すぎて
無意識の内に「不安や恐怖・ストレス」が増大する
そうすると脳や身体を守るための心理的メカニズム(防衛機制)が発動し
自我が分裂し、『悪い自分』を抑圧し、認識できなくなる(否認)
「『良い子』でなければならない。負けてはならない。逃げてはならない」という圧力(強迫観念・同調圧力・ストレス)が強ければ強いほど、『失敗や挫折や敗北』に対しての不協和(不安・恐怖・苦痛)が増大する
自我
『理想の自分』→不協和←『現実の自分』
『良い自分』→不協和←『悪い自分』
そしてこの2つの間の不協和(ギャップ)が大きければ大きいほど
『悪い自分』『現実の自分』『無能な自分』を認識することは耐えられなく
それを否認・矮小化しようとする圧力が強まる
『完璧な自分』でいるために、『悪い自分』を否認・矮小化するために
相手をコントロールしょうと、認知の改変し、新しい認知を追加する
そこから「被害妄想・陰謀論」や「優生思想・自民族中心主義」が出てくる
ストレス(社会的・物理的・精神的圧力)
(不安・恐怖・劣等感)↓(コルチゾール)
ありのままの本当の自分
自我 ↓ 否認
『良い自分』← 分裂・否認 → 『悪い自分』
↓ ↓
投影・共依存 投影性同一視
↓(忠誠・従属) ↓(攻撃・差別)
『権力者・強者・教祖』 『他者・弱者・子ども』
「自分は正義。批判者は悪魔・弱者」
『優生思想』『善悪二元論』『厳罰化・排除』『共感能力の欠如』『権力者・強者・教祖』と同一化し、『他者・弱者・子ども』を差別・攻撃することで劣等感を否定し、万能感・優越感・安心感を得る
そこでは
他人は「自分の欲望(支配欲・承認欲求)を満たすための道具」
と認識しているので『共感性』が欠落している→差別・体罰・パワハラ・マウント
【投影性同一視】
自己愛性人格障害などの障害をもつ人は、醜い劣等感や醜悪な劣った人格などを
他の人に「投影する」ということを行います自分の悪い部分を別の人に「投影」して攻撃すれば、自分の劣等性から解放され
目の前にいる人に対する優越感まで得ることができます
『他者・弱者・被害者』を見下し、叩くことで『悪い自分・弱い自分』を否定しようとする
常に子どもの言うことを否定せずにはいられない。他者の悪口を言わずにはいられない。その人の意見や個性を尊重することができない
同時に
『権力者・強者・教祖』と同一化・一体化することで『強い自分』を強調しようとする。そこで万能感・優越感・安心感を得ようとする
→【権力志向】
*『境界性パーソナリティ障害』
『境界性パーソナリティ障害』とは?
《症状》
《特徴として》
- 激しい怒り、空しさや寂しさ、見捨てられ感や自己否定感など感情がめまぐるしく変化し、そして混在している
- 感情の調整が困難で、不安や葛藤など、自分の感情に気付けず、自分の中で処理することを苦手としている
- 抑うつ症状が特徴的だが、うつ病とは異なり見捨てられ不安に由来している。対人関係も見捨てられ不安に大きく影響されており、不安定になりがち。
《対人関係の3パターン》
- 見捨てられる不安におしつぶされ、「相手に愛される価値のない自分」に対して自己破壊的行動をする。
- 見捨てられ不安から、相手にしがみつく。1日何十回も電話したりする。
- 見捨てられ不安から、相手にひどい目に合わされても耐えてしまい、心身に大きなストレスを蓄積させる。
原因は生物学的要因(遺伝、アドレナリン・セロトニンの異常、前頭前野機能の低さ、扁桃体の過敏性)や幼少期の体験(虐待、過干渉、機能不全家族の養育)が原因として考えられると言われている
扁桃体は脳の辺縁系の一つで、感情に関係する部位。一説によると、パーソナリティ障害の人は扁桃体が過敏で、不安や恐怖を感じやすく、自傷行為をすることで扁桃体の興奮が抑制されることがわかって来た
「やめたくてもやめられない」自傷行為は、自分の中の不安や恐怖を解消しようとする『依存症』と言える
米国のミネソタ大学で行われた研究によれば、リストカットなどの自傷行為をしている少女たちの脳を調べたところ、恐怖を感じる脳領域(偏桃体)の活動量が変化し、理性にかかわる脳領域(前頭前野内側)との接続性が低下していた。
さらに重度の自傷行為を行っている少女たちは、ストレスを感じてもストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が鈍くなっていた。
どうやら重度の自傷行為の裏には、脳の接続不良やホルモンの分泌不足など、神経系の物理的な異常が潜んでいるようです。今回の研究により、自傷行為の背後にはストレスホルモンの分泌不足があり、自傷は偏桃体と前頭葉の接続を損なうことが示されました。
自傷行為によって分泌される大量のストレスホルモンは、ストレスと戦うための手段になりますが、慢性化すると自傷なしにはストレスに対処できなくなってしまいます。また繰り返される自傷によって精神が消耗すると恐怖を司る偏桃体の働きが鈍り、理性を司る前頭皮質との接続も弱まり、正常な恐怖を感じることも難しくなる可能性があります。
結果、些細なストレスも大きなストレスとなり、ストレスを緩和するために自傷に至り、さらに脳への異常が蓄積していきます。
ある意味では『自傷』は覚せい剤のような働きを持っていると言えるでしょう。
いくつかの自傷は幼年期の虐待が原因であるとされており、虐待が脳の接続変化やストレスホルモンの分泌不良を起こした可能性がある。
リスカなど自傷行為の根底にある脳のメカニズムを解明!/ナゾロジー!
↓から引用