『ネトウヨ』の心理的考察〜「愛国心」という『依存状態』〜

【認知的不協和理論】人はなぜ「陰謀論」や「歴史修正主義」のにハマるのか?

【認知的不協和理論】は朝鮮戦争時の「中国人民軍」の「米国人捕虜」に対して行なわれていた“洗脳”の仕組みや、人がブラック企業・マルチ商法・カルト宗教などに“ハマる”仕組みの説明するものとして有名で、それは「人は『不協和』が増大したときそれを解消しようと【認知を変更】する」という『心理的メカニズム』を利用したもの。
そして、それは同じように「人は、なぜ『陰謀論』や『歴史修正主義』にの“ハマる”のか」という命題にも応用できる⋯




7.【自民族中心主義】と【歴史修正(否認)主義】

*【認知的不協和理論】と【自民族中心主義】

【権力志向】【反権力志向】の対立・二極化する中で
自分の『価値観・選択・行動』が正しいことを主張するために
常に相手を攻撃・誹謗中傷する必要がある

なぜならその価値観とは
所詮、人間が作った「思い込み・幻想・妄想」に過ぎない
不安定なものだから⋯

それは日本や世界の歴史を見れば明らかだろう
常にその価値観は変化して行く

権力者は
いつ自分が追い落とされるかわからないという『不安・恐怖』があり
その『不安・恐怖』を解消するためには
『幻想(利権・支配構造)』を絶対的なものにしなければならない

天皇は神でエライ↔天皇も同じ人
日本人スゴイ↔どの民族も同じ
親に従うのは当然↔に従う必要はない
子供は親の所有物↔子供は別の人格

規則ルールは絶対・体罰・排除・死刑推進↔体罰禁止・死刑廃止
一番でなければ意味がない↔順位付けには意味がない
競争・勝敗・優劣・上下の拘り↔ゆとり・自主性・個性の尊重
権力擁護・忠誠・隷属↔弱者救済・権力批判
自己責任↔社会福祉
人権・自然より経済成長第一↔成長より人権・自然・持続可能
自然は人間の為にある↔人間は自然の一部
反緊縮・開発・富国強兵↔事業仕分け・反原発・脱ダム・協調共生

家父長制・男尊女卑↔夫婦別姓・男女平等
依存心・忠誠↔自立心・反抗
価値の画一化↔多様性

その対立の根幹にあるのは

『幻想(利権・差別構造)の絶対化・保身』
『幻想(利権・差別構造)の懐疑』との違いで

その幻想を絶対化し、正当化し
国民に強制して従わせるためには
相手を口汚く攻撃しなければ安心できない

自分がいかに正義で、清潔で、美しくて
   ↕
相手がいかに汚くて、嘘つきで、醜いか

を叫び続けなければならない

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しかし
世界の多くの先進国は科学技術の進歩に伴って
新しい『価値観』『構造』に転換していっているのに

いつまでも古い幻想・利権・保身・教育固執すればするほど
どんどんと不協和が拡大していく

その国は取り残され、腐敗し、衰退して行く

[古い価値観]↔[新しい価値観・科学技術・世界の潮流]
[理想の自分]↔[現実の自分]
[勝利・成功・報奨]↔[敗北・失敗・制裁]
[国の為]↔[権力欲・私利私欲・公私混同・身内優遇]
[愛国心]↔[不正・汚職・嘘・権力の私物化]
[美しい日本]↔[自然破壊・利権拡大・反緊縮]
[国民の為]↔[金持ち優遇・弱者切り捨て・自己責任]
[自由民主主義]↔[捏造・改竄・隠蔽・廃棄・忖度・権威主義]
[言ってること]↔[やってること]

そして
その2つの間の“不協和(矛盾)”が拡大するほど批判に晒され
存在に対する“不安・恐怖・劣等感・後ろめたさ”が増大していき

その不協和を解消しようとする圧力が高まる

そこで
その自分の中の“悪い自分”(不正・嘘・欺瞞・後ろめたさ⋯)
を打ち消すために批判者を激しく攻撃する

他国の脅威(不安・恐怖・憎悪)を煽り自己正当化しようとする

そこから生まれてくるのが『自民族中心主義』

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それはどこの国・民族・組織・集団・派閥にもある

不協和が拡大していくうちに
それを打ち消そうとして『日本人』『愛国心に拘っていく内に
それ(依存行動)を正当化するように認知を歪める

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自分と違う意見・考え方・価値観・行動に対し
批判する者に対して

「自分達の方が正しい」「国のためにやっている」
「自分こそ“愛国者”」と正当化する

その一方で⋯

「日本(自分)を批判する者は反日・在日・中共のスパイ」
と認定し誹謗中傷する

『日本人』というモノに依存し、それを強調することで
“悪い・弱い・醜い自分”を否認・矮小化しようとする


その自分の行動を正当化したいという『心理的カニズム』の中から
陰謀論歴史修正主義・優生思想・全体主義が生まれる


それは『自己愛性パーソナリティ障害(ナルシシズム)』と同じ原理

自己愛性パーソナリティ障害(ナルシシズム)

        自我
 [『良い自分』分裂『悪い自分』]⇒投影[他者・弱者]
             否認

自分の『悪』を分裂・否認し、相手[他者・弱者]に投影して攻撃することで
万能感・優越感を得ようとする

  歴史修正(否認)主義

        日本
 [『良い日本』分裂『悪い日本(歴史)』]⇒投影[他国]
              否認

日本の『悪』分裂・否認し、相手[他国]投影して攻撃することで
万能感・優越感を得ようとする

*【認知的不協和理論】と【歴史修正主義

例えば【歴史修正主義】を見てみると⋯

 認知1(信念・感情) →不協和← 認知2(歴史)
愛国心・国の為に死ぬ  ❌ 日本は悪いこと(侵略)をした
特攻隊は素晴しい(快感) ❌ 特攻隊は犬死・無意味な作戦

この不協和を解消するには?
認知1(行動・価値観・信念・感情・欲望)を正当化するためには?

認知2(歴史)を改変すること=歴史修正主義

認知2*(歴史の改変)→
「太平洋戦争は欧米の侵略からのアジア開放戦争」
南京大虐殺は中国の捏造」「従軍慰安婦はただの売春婦」
「強制労働はなかった」「金のために自分から進んでやってきた」
「特攻(英霊)のおかげで今の平和がある」
靖国神社は日本の文化」「英霊に感謝するのは当たり前」
靖国批判は英霊に対する冒涜だ」

そう思い込み、他に責任転嫁することで『不協和』を解消する

そこでは反省することができない
相手・弱者への共感能力が欠如している

人権を尊重できない。個人を尊重できない
(だから日本はいつまで経っても給料が上がらない)

〚日本人=優秀〛「日本人スゴイ」というものを強調することで
“悪い自分”を否認・矮小化し、自分の『行動』を正当化しようとする

自分が優越感・万能感・安心感を得るために、歴史を改変する

都合の悪いことは見ない・見えない・認めない・反省しない

無意識の内に
心理的にも物理的にも都合の悪いものは『捏造・隠蔽・廃棄』する